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【イナGO】文月学園に行ってきました!!【バカテス】


 ―――― フィフスセクターが解体し、少年サッカー法も廃案にされ、ようやく中学サッカー界はかつての姿を取り戻した。この革命を成し遂げた雷門中でもTOPの人事異動が行われ、金山理事長・冬海校長ともに更迭された。
 新しい風を受けた校内に相応しく、理事長・校長には情熱あふれる若くて有能な人材を抜擢した結果、新理事長には円堂夏未が就き、校長にはなんと! あの目金欠流が就任した。

 そして今、新理事長である円堂夏未は、ある問題で頭を抱えていた。


  ■ ■ ■


「夏未さん、今日もまた生徒達からの要請書です」
「ああ、目金くん。生徒達の情熱は評価するべきなのでしょうが、こればっかりは……」

 夏未理事長は理事長の机の上に山積みになった要請書の束に目をやりながら、深くため息をついた。

 その書類の文面は、表現こそ多少の差はあれど、内容に関しては皆同じ。今まではフィフスセクターの影響があったからこそ口にはしなかったが、部活生なら、一度は思ったことはある筈。

 ぶっちゃければ、サッカー部だけが化身を使えるのって、ズルイっっ!!
 野球部だって、バスケ部だって、テニス部だって、剣道部だって、卓球部だって、バレー部だって、使えるものなら使いたい!! 魔球に必殺シュートや必殺サーブ、必殺という文字がインフレ起こしてるけど、それでも憧れるのは必殺技!!

 皆、表立って口にしなかったけど、サッカー部がフィフスの偏った依怙贔屓を受けていたのは、周知の事実。サッカーやってりゃ、内申が上がって良い高校に行けるってところから、もうなんだかなぁな世界。その代り、フィフスからの指示は絶対厳守で、守らなきゃ廃部に廃校。そんなプレッシャーの中でサッカーを続けられるって言うのは、ある意味尊敬に値する。

 ……自分なら、嫌だけど。

 負けたくもない、負ける訳もない試合に、最初から負けなきゃいけない試合なんてやりたくもない。そんな事になれば、間違いなく自分ならサッカーを嫌いになる。あ~あ、良かった。自分の好きなスポーツがサッカーなんかじゃなくて、化身が使えなくても、と。
 そう思っていた生徒達。化身が使えるようになる、イコールフィフスの支配を受けると、思っていたのだ。

 ところがフィフスが解体しても、サッカー部の連中はバンバン化身を出して、必殺技の大安売りをやっている。それは、そーゆーものに憧れる年代の子ども達には、ただただひたすらに羨ましいだけであった。

 で、この結果だ。

「どうしましょう? 夏未理事長」
「そうね……。この雷門、と言う土地柄かしら。円堂くんの時代から、ここでは今でいうところの『化身』が発動しやすいのよね」

 ふぅぅむ、と考え込む夏未理事長。

 フィフスが活動していた頃、シードと呼ばれる特別訓練生の多くは、この『化身』が使えた。ところが、先に夏未理事長も零したように、この雷門ではフィフスの指導とは関係なく、『野生の化身使い』が大量に発生した。その事実を知る他の運動部が、自分達もっっ!! と言うのも無理ならぬことであった。

「ねぇ、目金くん。もし、他の運動部でも化身が使えるようになったら、どんな影響が出るかしら?」

 目金校長が金縁眼鏡に手をかけて、キラリと反射させつつ厳しい眼差しを返す。

「部活での成績は向上するでしょうが、反比例して学力の低下は免れませんよ? 事実、これがこの一年間のサッカー部員の成績の推移です!!」

 バシっと束になった要請書の上に差し出したデータは、明らかに学力が追いつかなくなりつつある傾向を示していた。

「……天馬くんと錦くんは、どこが学力の実力か判らないところがあるけど、西園くんの成績の変化を見れば一目瞭然ね。化身を発動できるようになってからの、成績の停滞あるいは低下は」
「化身の召喚には、物凄い体力と気力を消費します。それが、そのまま学業へ悪影響を与えるようです」
「成績上位をキープしている神童くんと剣城くんの頑張りは、一目置くものがあるわね」

 学生の本分は、学業。
 それを疎かにするような事を、学校側としては認める訳にはいかない。
 しかし、これだけの要望を頭ごなしに封殺してしまうのも、問題だろう。
 『化身使用許可(?)』のようなものを学校側が出したとして、その結果が学校全体の学力低下に繋がってしまっては大問題だ。

「あの、夏未理事長。実は『化身』と同じカテゴリーの科学では証明できない、オカルト要素をシステム化し学力推進に取り入れた実験校を知っているのですが……」
「実験校?」
「その学校では先生立会いの下、特殊な召喚フィールドを起動させて化身のようなもので勝負を決めるルールがあるそうです」
「と言う事は、そのシステムを使えば、この要望書を出してきた生徒達の希望を叶えることが出来るのね?」
「それも、学力に見合った強さを持てると言う事ですので、化身を使いたい生徒の意見と、学力を上げたいと思う教職員との思いとも合致する画期的なシステムではないでしょうか?」

 しばし、黙考。
 そして ――――

「そのシステムどんなものか、一度見てみたいものだわ。見学の申し込みは出来るのかしら?」
「それは大丈夫でしょう。むしろ、校外にアピールして受験生を増やしたい方針のようですから」
「勿論、分ってるでしょうね? 目金校長。ただ見学するだけでは、意味はありません。実際にこの雷門での運用に支障がないか、試してみたいと思います。一応化身を扱いなれている、あるいは化身に慣れているサッカー部に実験台になってもらいましょう」

 そんな夏未理事長の一言。

 『試験召喚システム』導入を検討し始めた夏未理事長と目金校長、そして何も知らないまま実験台にされるサッカー部の面々は、文月学園の校門をくぐったのであった。


  ■ ■ ■


「まぁね、大口スポンサーからの口利きじゃ、断る訳にもいかないさね。ましてや有名私立中学からのシステム見学と来ちゃぁね」

 若くて美しい夏未理事長の対極を行くような、初老で化粧っ気のない枯れた樹木のような藤堂カヲル理事長。学校の教職員と言うよりは、むしろ研究者としてのイメージが強い。また、それも仕方がない事。文月学園で導入されている『試験召喚システム』は彼女が開発したものであった。

「羨ましいねぇ。歴史のある学校だと、卒業生や関係者の中からこうして母校の為のスポンサーになってくれる者が現れるんだからねぇ。ウチのような新設校からしたら、まだまだ先の話さね」

 カヲル理事長の言う大口スポンサーに名を連ねているのは、鬼道コンツェルンにキラ・コーポレーション、今急成長中のゲームソフト会社ライジング・フォース。この会社、『試験召喚システム』開発の協力企業でもあり、現雷門の校長でもある目金の会社でもある。

「急な話を快諾下さって、ありがとうございます。時代は常に変化してゆくもの、生徒達のニーズに応えることが出来なければ、いくら名門校でも廃れてしまいますもの」

 さりげなくチクっときたカヲル理事長の言葉を、夏未理事長はそんな言葉でさらりと交わす。

「だけど、なんせ急な話だったもんでね。本来のシステムの要である、クラス対抗の『試験召喚戦争』を見学させる事が出来ないんだけど」
「……『試験召喚戦争』? それは……?」
「おや、この目金氏から聞いてないのかい? 我が文月学園の一番の特色だよ。このシステムを本格的に活用し始めるのは高校2年になってからなんだけどね、1年の終わりのクラス振り分けテストの結果で、AクラスからFクラスまでに振り分けるんだよ。クラス設備や待遇に差を付けて、子ども達に差別意識と共にハングリー感を与えるのさ」
「まぁ……」

 夏未理事長の口から、軽い蔑みめいたため息が出る。教育者たるもの、同じ教え子を差別するとは一体どういう事かと。

「ふふ、名門校の理事長さんには思いもつかない発想だろうねぇ。だけど、本当に子ども達を伸ばしたいと思うのなら、皆一緒、同じようにってのは綺麗事に過ぎやしないかい? それは、かけっこなんかで皆足並み揃えて同着一位、みたいなバカバカしさだと私は思うんだけどねぇ」
「…………………」

 そう、そんな中学サッカー界でのバカバカしさをひっくり返した雷門だ。教育者らしくないカヲル理事長の言葉だが、夏未理事長にはすっと入って行くものがあった。

「バカにお前はバカだって自覚させるところから、教育は始まるのさ。そして、何よりも大事なのは本人のやる気さね。その為のクラス振り分けだし、設備の格差。どん底から這い上がりたかったら、必死で勉強しろって話だよ」

 生徒の事を臆面もなくバカと言い切る教育者らしくない態度でも、『なら・しか』で教員をやっている先生よりは、ずっと信念が通っている。

「ここは学校だからね。自分一人が良けりゃ、それで良いってもんじゃないことも教えておかないとね。バカが一人で頑張ってもたかが知れている。それでも、そんなバカが仲間と協力して頑張って知恵を出し合えば、上位クラスにだって勝てる。そんな環境を、あたしは作ってやってるんだ」

 そう胸を張るカヲル理事長の言葉に、いつしか夏未理事長も深く頷いていた。


  ■ ■ ■


「……何を話してるんでしょうね? 夏未理事長と目金校長」

 文月学園理事長室の隣の応接室で待たされている、雷門イレブンの面々。そう口を開いたのは、マネージャーの葵だった。

「う~んそうだな。今回の学校訪問は突然の事だったから、色々現場での打ち合わせがあるんじゃないか?」

 と、真っ当な意見を神童が口にすれば、いやいやいやと倉間が首を横に振る。

「その学校訪問そのものが、胡散臭い。だって、俺らまだしも、こいつ等中二だぜ? 進学に関しての、そう……、例えば推薦枠とかの話なら、関係無ぇーだろ?」
「そう言われれば、確かにそうだ。大体学校訪問なんてのは、受験を希望する学生が下見を兼ねて行くもんで、なぜ俺達サッカー部だけが、ここに連れて来られたんだ?」

 倉間の発言に、霧野も腕を組んで頭を傾げる。

「でも確か文月学園って、進学校ですよね? 新設校なんで、まだ実績の方は、何とも言えないようですけど」

 ぽそり、とガイダンス的な情報を速水が提示する。

「進学校と、俺達サッカー部? 変な組み合わせだよね? 倉間先輩の言う通り、俺達まだ二年生だし」

 皆の話を聞きながら、天馬も同じように首を左右に振りながら、訳わかんないなぁ、と呟く。 
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Date:2012/10/30
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