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□ 創作小説 □

夜の海で…


 この話は、私のOL時代の話。
 結構可愛がっていた年下の営業君から聞いた本当の話です。



「……○○さん。恐い話、聞かせちゃろっか?」


 春先のある昼休み、電話番をしていた私に営業のS君がそう話しかけてきました。
 S君はかなり年下の営業社員ですが、愛嬌のある部活感覚での後輩のような感じの子です。どちらかと言えば真面目で、だけど場を盛り上げるのが上手な子です。


「ん? 何々? 何か面白い話??」


 私はこの手の話には目がありません。


「うん、あのさぁ、俺。この前の休みに夜釣りに行ったんっちゃん。IとUも一緒に」
「へぇ、それで変わったもんでも釣ったの?」
「いや、あんまり釣れんし寒いし……、人も少ないからもうちょっと頑張ったら帰ろうって」
「うん、それで?」
「十二時前やったかな…、俺達が来た時には他に三人釣り人がおったけど、いつの間にか一人帰っていて、二人になってる。一人で釣っとったみたいだったから、釣れんで先に帰ったんやろうって」
「何か、ドボーンって音が聞こえたような気もしたんやけど、風も強かったし岸壁に波が叩きつけられて結構五月蝿かったし、ホット・レシーバー付けてたから良く判らんで……」
「……うん」
「大丈夫やろうって、先に帰ったんよって言って、俺達もそのまま帰ってきたん」


 そこでS君は困ったような、茶目っぽいような何とも言えない表情で笑って……


「……今日の新聞でさ、俺達の釣ってた場所で水死体が上がったん。落ちた時間が、夜中の十二時頃って……」
「嘘……」
「嘘や無い。新聞、見てん」


 そう言ってS君は私の席から離れて行きました。
 その日、私は新聞を見ませんでした。


 もしかしたら、本当はS君が私を担ごうとして言った嘘かも知れません。
 でも、もし本当なら……


 S君が私に話した本当の訳は……


 それから間もなく私は職場を退職し、S君とも会う事はなくなりました。
 今でも私はこの話が、本当か嘘か知らないのです。



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Date:2012/03/11
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