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□ 京介くんと天馬くん □

らんまなてんま

 俺、やっぱり剣城の事が好きだ。
 どうしてこんな気持ちになったかなんて、自分でも判らない。

 ……多分、一番最初の出会いから、俺の一目惚れだったんだと思う。

 そう、あの雷門の入学式の日の事。
 セカンドチームを一人で壊滅させた剣城の実力に一目で魅了されて、でもやってることは許せなくて、自分の実力も顧みないでフィールドに入ったあの日。

 俺の腹に打ち込まれたデスソードは、物凄かった。
 こんな強烈なシュートを打つ奴がいるなんて、凄い! 凄すぎるって!!
 もちろん、サッカー初心者の俺なんかが敵うような相手じゃなくて、ボロボロにされて、悔しくて!!

 ……でも不思議なのは、あんな目に合わされたのに、俺は剣城を怖い奴とは思えなかったんだ。あの時のあいつは、サッカーなんて下らない!! ぶっ壊してやる! なんて言っていたけど、それが本音じゃないって多分、俺は直感していたんだと思う。

 後で円堂監督に聞いたんだけど、円堂監督も相手が打ったシュートを受け止めれば、その相手が何を考えているのか、何を思っているのかが判ると言っていた。それを聞いて、俺は凄く納得したんだ。

 剣城は、本当はサッカーが大好きなんだって!!

 その大好きな筈のサッカーを大嫌いだっっ!! なんて言わなければならない理由を、俺は知りたいと思った。知りたいと思って、しつこい奴だと思われても、邪険にされてもくっついているうちに、色んなことが分かった。

 剣城には大好きなお兄さんがいる事。
 そのお兄さんは足が悪くて、入院している事。
 お兄さんの足を治すために、シードをやっている事。

( やっぱり剣城は優しいんだ。優しいから、一人で全部背負い込んでしまうんだ )

 剣城の優しさを実感したのは、地区大会万能坂戦でのこと。

 俺の足を潰しに来た相手シードのラフプレイから、体を張って俺を助けてくれた。何でもない顔をして、俺なんか敵でしかないって素振りで。だけど、フィフスセクターのシードである剣城がそんな事をするって、フィフスセクターから見れば裏切り行為だよね? それって、剣城にとって凄く都合の悪い事だよね? それでも、剣城は俺を ――――

 俺は子どもで、難しい事も何かしてあげることも出来ないけど、でも剣城のサッカーが本当に好きだって気持ちを、剣城の優しさを信じてやることは出来る。

 誰かに信じてもらえるって、きっと力になると俺は信じている。

 俺には、そのくらいしかしてあげられないから。
 もう、その時には剣城の事を好きになっていた自分に気付いていたんだ。
 で、まぁ、それからも色々あったんだけど、剣城はシードを辞めて俺達の仲間になってくれた。

 ねぇ、信じられる?

 俺、今じゃ剣城との二人技まであるんだよ!
 ダブルウィングって言うんだ、その技。
 剣城となら、どこまでも羽ばたいて行ける気がする。


 ……だからさ、俺。

 告白したんだ。
 剣城が好きだって。
 そしたら剣城の奴、真っ赤になって何にも言わずに逃げ出した。

 これって、俺振られたってこと?

 しゅん、と落ち込んでいたらそれを見ていた霧野先輩が俺にこう言ったんだ。

「なぁ、天馬。そーゆー告白をする時は、時と場所を選べ。部活の練習中の休憩時間に、部員皆が見ている前でするもんじゃないぞ!?」
「あ、でも善は急げって言うし、思い立ったが吉日とかも」
「……ほんっと、天馬お前、空気読めてないな。ほら、見ろ! お前のせいで、面倒臭い事になってる」

 と、霧野先輩が後ろを指さした。そこには ――――

 最近は生気が出てきていた神童キャプテンの瞳から光が消えて、浜野先輩の大きな眼は死んだ魚の目のようになって、もともと小さな倉間先輩は蛇の巣穴に潜り込みそうなくらい体を縮めて、速水先輩はグランドの端の樹の影で真っ白になっていた。

「あの、俺……?」

 俺はびっくりした。
 どうして、こうなったの!?

「これ、俺の所為ですか?」
「まぁな。でも、まぁ、お前が何人とでも平等に付き合えるくらい器用で、それをあいつらが許せるって訳じゃなければ、遅かれ早かれお前に好きな奴が出来た時点でこうなるのは見えていたけどな」

 ふぅぅ、と大きなため息をつく霧野先輩。

「俺、これからどうしたら……」
「ん? お前は剣城が好きなんだろ? なら、ちゃんと返事は貰って来い。話はそれからだ」

 きっぱりと、男らしく霧野先輩にそう言われた。
 ああ、そうだね。
 相手の返事も聞かないうちに、あれこれ考えたって先には進まないもんね。

 ……でも俺、振られたらどうしよう?

 思いっきり泣いて、わんわん泣いて、一晩中泣いて、一日くらい学校も休んで、それからならまた、ただの友達に戻れるかな?

 自信がないよ、俺…………


  ■ ■ ■



 びっくりした!!

 目っいっぱい、びっくりした!!
 口から心臓が飛び出るかと思った!

 松風の告白をグランドの、それもサッカー部員全員がいる前で受けて、俺は発作的に駆け出していた。走って走って、誰もいない旧サッカー部室の裏で足を止めた。

「な、なんなんだよ、あいつ。そーゆー事、あの場で言うか?」

 はぁはぁ、と荒い息を整える。
 息を整えながら、松風の事を考える。

 俺の事を好きだと言われて、びっくりはしたけど嫌ではなかった。
 松風の言う、『好き』が友愛の延長にある『好き』ではないことくらい、ちゃんと判っている。判っていて、それでも自分も嫌だとは思わないのだから、まぁ、それは、そのぉ…………

「だけど、こちらの心の準備ってもんもあるだろう? 俺だって、お前の事嫌いじゃないさ。でもな……」

 松風が目の前に居る訳じゃないのに、言い聞かせるように俺は言葉を続けた。

「いいか? 俺は男で、お前も男だ。まず、ここから大きな障害が横たわっている訳だ。それにお前、今でこそこうして仲間として接してもらえるようになった俺だが、それでもあの頃の俺がお前にしたことを思えば、簡単に好きだなんて口に出来ないだろう?」

 そうさ、俺は忘れていない。
 自由を奪われ、大好きなサッカーでサッカーを汚さなければならなかったあの頃。その鬱憤を晴らすかのように、お前に必殺技を打ち込み続けた自分を、俺は許せない。フィールドに倒れたお前の姿は、今でも俺の記憶に焼き鏝で焼き付けられたように残っている。

「それに、お前になら俺以上にふさわしい相手がいるじゃないか。神童キャプテンとか、他の先輩方とか。俺は、お前と一緒にサッカーが出来るだけで、十分なんだ」

 どうにか動悸も納まり、ぽつりぽつりと誰も聞くものもいないのに、自分の心情をぽろりぽろりと零してゆく。

「ああ、あんな出会いじゃなければな。俺がシードなんかじゃなければ、あの時お前を傷つける事もなかったのに」

 大きくため息をつく。
 大好きなサッカーを裏切りシードになった代償は、こんな形ででも現れるのだと。

 ガサっと足音がした。
 はっと振り向くと、そこに松風がいた。

「お前、今の話……」

 こくり、と頷く。

「なぁ、だから判っただろう? 俺はお前の告白は受けられない。受けるだけの資格がないんだ」
「どうして? 俺、傷なんてついてないよ? ううん、それよりも剣城がシードじゃなかったら、俺達最初から出会えてない」
「松風……」

 一歩、松風が俺に迫ってくる。

「ね、剣城。剣城は俺の事、嫌い?」
「…………………」

 返事の返しようがない。

「じゃ、男なのに男の剣城を好きだって言う俺は、気持ち悪い?」

 その問いには、俺は首が振り切れるほど横に振った。
 小さくほっとしたように、松風が笑顔を浮かべた。

「良かった。じゃあさ、もし俺が女の子だったら、剣城は俺の事どう思う?」
「お前が、女だったら……?」
「そう、女の子だったら」

 そう言いながら俺の顔を見上げてくる松風の仕草に、その様子は容易く想像できてしまった。

( ……きっと、めちゃくちゃ可愛いだろうな。誰にも見せたくないくらいに )

 心の中で良いと、小さく呟く。

「 ―― !! ―― 」

 ……心の中で、呟いたつもりだった。

「良いんだね! じゃ、俺女の子になってくる!!」
「おい! ちょっと待てっっ!! 女の子になってくるって、今からタイにでも行くつもりかっっ!! 早まるな、松風!!」

 そんな俺の言葉など聞きもせず、松風はそのまま学校外へと走り出てしまった。 


  ■ ■ ■


 それから三日、松風は学校を休んだ。
 まさか本当にタイに飛んだんじゃないのかと、心配で気が気ではなかった。松風の住むアパートの管理人に聞いてみれば、なんでも知り合いの山寺の住職に会いに行くと言って出掛けたそうだ。こんな時期に学校はどうするのかと、その親戚の管理人のお姉さんは言ったのだが、自分の一生に関わる問題だからと、聞く耳を持たなかったらしい。

「松風ぇ、お前一体……」

 そして、四日目。
 松風は、いつものように登校してきた。
 にこやかで、いつもより可愛さをUPして。

「松風、お前一体どこで何をしていたんだ! 皆心配していたんだぞ!?」
「えへへv じゃ、剣城も心配してくれたんだ。俺、ちゃんと約束果たしたよ」

 松風は、笑顔が印象的だ。
 今朝は、その笑顔が必殺技並に強烈なのはどうしてだろう?
 そう思って松風を見つめていると、ちょいちょいと松風が手招きをして俺を部室に連れ込んだ。

「あの時、俺まだ剣城の返事を聞いてなかったからさ。ねぇ、これでもまだダメかな?」

 そう言いながら松風は俺の腕を取り、ピタっと自分の胸元に抱えん込んだ。

「えっ? 何がダメだって……!!」

 ビクッと腕が反応する。
 押し付けられて感じる、このふにゃっとした柔らかいものは……

「あ~、腕を押し付けただけじゃ分からないかな? じゃ、これなら、どうかな?」

 と、俺の腕を放し、いきなり制服の上着を脱ぎ、その勢いでカッターシャツも脱ぎ捨てる。
 すると、そこには ―――ー


 ポロン、と発育途中の可愛らしいおっぱいが ――――


「ЙшÅ~~””” Д”И§ШΠっっ!!!」

 言葉にならない驚声を上げる。

「え~、ショックだなぁ。俺、自分じゃ中々可愛いおっぱいだって思ってるのに~~」

 ぶぅ、と松風が頬を膨らませる。
 ああ、そうか、やっぱり俺の見間違いじゃないのか。
 そうか、そうか。

「ね♪ これなら、剣城だって問題ないでしょ? 俺、今ちゃんと女の子だよ?」

 にこやかに上半身トップレスな姿で、俺に迫るなっっ!! 松風っっ!!!
 朝だぞ、朝っっ!!
 しかも、ここは学校だ!
 俺の忍耐力が、切れたらどーするっっ!?

「お、お前まさか、俺からOKの返事をもらうために、そこまでしたのか?」
「だって、剣城俺が男だっていうのを気にしていたみたいだから……」

 ああ、お前ってそこまでいじらしい奴だったんだな!
 人の言葉も聞かずに、飛びだしてしまうくらいに!!

「……やっぱり、ダメなのかなぁ。俺じゃ、何をしても剣城に好きになってもらえないのかなぁ……」

 上目づかいで俺を顔を見上げる、その青く大きな瞳にゆらゆら涙が滲んでやたらと色っぽい。
 いや……、トップレスだから色っぽい訳じゃないから! そこ間違えないように!!

「……本当に、馬鹿野郎。俺の為なんかに、ここまでしやがって。今まで男として生きてきて、その男を捨ててまで俺なんかに ―――― 」

 ここまで憎からず思っている相手が俺の為にしてくれているのに、その気持ちに応えない程、俺も冷血漢じゃない。

「……俺も好きだ、松風。きっと、お前に負けないくらいに」

 とうとう松風の瞳で揺れていた大粒の涙がポロン、と頬を転がった。俺はその涙を、そっと唇で吸い取る。そのまま赤く柔らかそうな松風の唇に、自分の唇を重ねた。

 松風の裸の胸が寒くないよう、しっかり自分の胸に抱き締めて。

「バカだな、おまえ。本当に無茶しやがって……。体、大丈夫か? その……、切った所とか、痛くないのか?」

 バカだけど、どれだけ勇気を必要としたことかと、俺は思う。
 同じ男だけに、幾ら麻酔をかけたうえでの手術だとしても、アレを切り取られる痛さを想像したら、悶絶しそうな気がする。

「あ~、えっと……。そーゆーのは大丈夫だから。ちゃんと使い分けられるんだ、便利だろ?」
「使い分けられる……?」

 俺は首を傾げる。
 すると松風は、何を思ったかスタスタと部室に備え付けのシャワールームに向かい、身に着けていたものすべて脱ぎ捨てて、シャワーをいきなり浴び始めた。朝の冷え切った部室に、シャワー室からもうもうと湯気が上がる。
 しばらく湯音が響いたが、やがてその音も止まり、全身から湯気を立てている松風が一糸まとわぬ姿で出てきた。

「バ、バカっっ!! お前、朝っぱらからオールヌードなんか晒して、俺をどーしーよーって……」

 と、途中まで言いかけて、俺は目を丸くした。


 有る……、切り取った筈のアレが有る。
 そして、無い。
 確かに有ったはずの、肉まんみたいなアレが無い。


「へへへ。ね、便利だろ? 俺、どっちでもイける体になったんだ!」

 ……俺の思考は停止した。
 すっぽんぽんの松風の裸を、目の前にして。


  ■ ■ ■


「本当に良いのか? これは、呪いじゃぞ」
「はい! 十分考えての事です!! こうしなければ、俺の未来は切り拓けないんです!!」

 剣城に告白したあの日。

 剣城が俺の事を嫌っていない感触は掴んだものの、やっぱり男同士でのお付き合いに抵抗があると思った俺は、一大決心をした。

 以前聞いたことの有る、不思議な泉の話。

 その泉を管理しているお寺のご住職にお願いして、入泉許可を貰う。ご住職は何度も俺に考え直すように説得しようとしたけど、そんなのは無駄な事だ。俺の剣城への愛の強さに比べれば。

「本当に良いのだな? あの泉に浸かると水を浴びたら女の体になってしまうのじゃぞ?」
「知ってます。そして、お湯を浴びれば男に戻れるのでしょう?」
「ああ、そうじゃ。じゃが、常日頃厄介な事になる事は必至じゃぞ? 雨が急に降れば女、海水浴やプールに行っても女。日々いつ女になるか分からん辛い生活じゃ」
「構いません。なんとかなります!!」

 俺は、そう言い切ってなぜか日本にただ一つある『呪泉郷』と同じ効用のある泉に飛び込んだ。

 俺は泉の中で、自分の体を変わって行くのを感じた。
 滑らかな手足、くびれた腰と膨らんだ胸。

 これで剣城が望んだように、俺は女の子になった。

「ご住職はこれを呪いだって言ったけど、呪いと祝いは良く似てるし、辛いと幸いも良く似てるんだよね」

 俺はそんな事を呟きながら、泉から上がる。
 どこから、どうみても女の子だよ、俺♪
 だから俺、この体で剣城と幸せになる!
 

 そう、何とかなるもんだよ♪ 人生って 
 ケ セラセラ、なるようになる、ってね!



  2011年11月01日脱稿






   === あとがき ===

天京で京天、タイトルどおりな内容です。天馬が思いっきり京介に迫っています!!
らんまパロ的な女体モノなら、ギャグの範疇で書けるのですが、それ以外はどうにも……^_^;
ニョタよりショタが好きなせいでしょうねっっ!!





                                      
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Date:2012/03/16
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