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君の為に 2

「まずは、俺達のせいでお前達を巻き込んでしまった事を、謝らせて欲しい」

 そう言うと風丸は、神童達の前で深々と頭を下げた。その風丸に合わせるように、円堂と春奈も頭を下げる。

「か、監督!? それに、音無先生も風丸さんも、一体どうしたんです……?」

 予想外の風丸達の行動に、神童達の目は丸くなる。大の大人が、こんな風に子どもに頭を下げるなんて、普通じゃ有り得ないことだ。

「俺達には、もうこうするしか方法が無かった。フィフス同様、サッカーやお前達を『駒』にするしか」

 その言葉に、神童の体がぴくっと反応する。三国や南沢の表情が険しく変わり、天馬の大きな瞳は悲しい予感に潤みだす。

「……それは、俺達が信頼していたあなた達まで、俺達を『道具』のように思っていたって、理解していいんですね?」

 そう言った南沢の声は、酷く冷たい。サッカーなんて、部活なんて、内申を上げるための『道具』と本当の自分の気持ちを長い間偽って来て、ようやくそうじゃないんだと言えるようになった南沢だけに、その声には怒りさえ含まれている。

「……お前たちを『道具』だなどと、思ったことはない。もしそう思うのなら、俺たち自身もまた、『道具』だ」

 南沢の怒りに触れても、風丸の声は静かだった。その隣で円堂が嗚咽を噛み殺すような、短い息を吐きながら、たどたどしく言葉を紡ごうとしていた。

「お、お前達…に、こ… こんな事、させたく、無かった。で、でも! もう、俺達がっ……、このフィールドをっ、選手として駈けることは……、出来ないんだっっ!!」

 過ぎてしまった十年を、今の変わり果てた中学サッカーを、一番悲しんでいる者の姿が、そこにあった。

「円堂監督……」
「落ち着け、円堂。監督のお前がそんなんじゃ、子ども達が不安がるぞ」

 いつも太陽のように笑っている円堂しか知らない神童達には、初めて見る円堂の姿。下を向き、ぐっと拳を握りしめる自分たちの監督に、この人はたとえどんなことが有っても、『人』を『道具』のように見ることはないと、確信する。

「……円堂さんが雷門中のキャプテンだった頃は、滅多に涙を見せない人だった。人知れず悔し涙を流すことはあっても、こんな風に泣くことはね」
「音無先生……」

 嗚咽を噛みしめる円堂と同じように、涙を瞳の端に浮かべている春奈がぽつりと話し出した。

「それは、その頃のキャプテンなら、自分の足で走って自分の腕で受け止めて、自分のプレイで、風を起こせる人だったから。敵として戦っても、終われば友達で仲間で、また楽しくサッカーをして……。そんなサッカーがいつも身近にあったから」

 春奈の言葉に、寂しそうに速水が呟く。

「……いいですね、そんなサッカーが出来て。羨ましいです」

 それは、今のサッカー部員全員の思い。

「だから、そんなサッカーを取り戻す為に俺達は動き出したんだ」

 風丸の声の調子が変わった。
 その様子を察したのか、剣城が席を立とうとする。

「どこに行く? 剣城」
「あ、ここから先の話は、俺は聞かない方が良いだろう。対フィフスのあれこれなんだろからさ」

 それは剣城の気遣い。

「……剣城、お前はここにいろ」
「いいのか? 俺はフィフスのシードだぜ?」

 自分の立場を周りの者に思い出させるように、そう皮肉っぽく言い捨てた。

「構わない。お前は俺が、豪炎寺から預かったんだからな」
「えっ?」

 円堂のその言葉に、剣城の目がひくりと見開かれる。

「どういう事です? 円堂監督」

 神童が、そう聞きたくなるのは当然だ。今の言葉、円堂監督が雷門に来ることを知っていなければ、剣城を雷門へシードとして送り込むことは出来ない。元々円堂監督が雷門の監督になれたのも、不可解な点があった。あの『円堂守』が、フィフスセクターから派遣されてくること自体、有り得ないと。

 今までの態度を見ていても、円堂監督は明らかにフィフスセクターに反抗している。決して言いなりにはならない。でも……

「……今では皆も知っていると思うが、剣城の兄絡みで剣城は組織に雁字搦めになっていた。その姿が、豪炎寺にはかつての自分の姿と重なったんだ」
「なんだよ、その話。俺は知らないぞ……」

 剣城は自分の知らないところで、今、こうして雷門イレブンの一員としていられるよう救いの手が密やかに伸ばされていたのだと気付く。

「そんな! それじゃ、本当に監督と聖帝は繋がりがあったと言う事なんですかっっ!?」

 その答えを聞くのは、とても恐ろしい事だった。


  ■ ■ ■


「……そうだ、我々はフィフスセクターの一員だ」

 良く響く、威厳に満ちた声。その声は、雷門イレブンも聞いたことが有る。そう、あの帝国戦での、鬼道総裁の声。

「鬼道……」
「遅かったな、鬼道」
「お兄ちゃん……」

 帝国の総裁が現れるのを待っていたかのように、その場に居た三人の大人から声がかかる。

「あ~っっ!! もうっっ! 訳、判んねーちゅーのっっ!! 結局、監督達は俺らをどーしよーっての!?」

 コロコロ変わる状況説明に、さしもの楽天家の浜野すら切れた。

「お前たちがそう思うのも無理はない。だが! それは、お前たちがフィフスセクター設立の意義を知らないからだ」
「フィフスセクターの設立の意義? そんなもの、中学サッカーを管理するためだろうっっ!?」

 浜野同様、喧嘩っ早い霧野も声を荒くする。

「いいや、違う。フィフスセクターの本来の設立意義は、お前達サッカー少年の安全と技術向上を図る為だった」
「俺達の、為……?」
「ああ。お前達は恐らく、あの十年前の中学サッカー界を激震させた出来事を目撃した、最後の年代になるだろう。お前たちは知らなかっただろうが、FFI優勝直後の中学サッカー界は、希望と興奮に塗れた混沌の時代に突入していたのだ」
「混沌の時代……」

 そこまで鬼道が話したところで、今度は春奈に説明がバトンタッチされた。

「ええ、そう。混沌の時代。栄光の光が強すぎれば、その影もまた濃くなる。イナズマジャパンがFFIで優勝した後、中学サッカー界では、部活事故が頻発したの」
「部活事故、って練習中の怪我とかですか?」

 春奈の話した内容を察して、神童が会話に加わる。

「……円堂の無茶な特訓話に尾ひれがついて、その真似をする子ども達が続出したんだ」

 どこの誰よりも、その特訓振りを知っている風丸が、軽くため息交じりで言葉を挟む。

「それと、その子ども達を指導する監督や顧問の力量のばらつきだな。腕の良い指導力のある監督は、資金力のある私立校などに招かれ、公立校では教科教諭が兼任する。顧問など名ばかりで、競技をしたこともない者がなっている場合もある。転任と同時に監督や顧問がつかなくなって廃部になるケースもあった」

 鬼道の話す部活状況は、私立校である雷門では考えられないことではあったが、それでも同じ中学サッカーを愛する者としては、考えさせられる話であった。

「そんな不公平を失くそう、子ども達が安全に部活動を楽しめるようにと設立されたのがフィフスセクターだった。監督はフィフスセクターに登録された指導力のある者を配置し、顧問はサッカーに理解のある教諭をバランスよく配属してもらうよう文科省に働きかけた。シードも、もともとは学校間で隔たりのある実力差を平均化させる為に、導入されたものだ」

 えっ? と言う表情で剣城が、説明を続ける鬼道の顔を見つめる。

「……監視役ではなく?」
「ああ。配属されたシードは、その中学校のサッカー部に正式に所属し、監督の補助として、自分が持っているテクニックや練習法を仲間に教える役目も担っていたんだ。必要であれば、複数のシードが在籍しても問題なかった」

 剣城にしても、目から鱗である。
 そんな役目であるのなら、どんなに自分の気持ちも救われていただろう。

「今じゃ勝敗指示などと言う、『勝ち』を公平に分配する馬鹿げた方法が取られているが、発足した当初、試合は終わるまで勝敗の行方は分からない、という姿勢だった」

 鬼道の説明を聞いていると、確かにフィフスセクターはサッカーを愛する少年たちの為の組織であったのだ。

「……それがなぜ、今のような組織になってしまったんだ!?」

 シードである剣城が一番聞きたいことであろう。なぜなら自分は、最初雷門サッカー部を潰せと指示を受けて、ここに来たのだから。設立当初の理念とは、真逆な使命を受けて。

「そう、その『何故?』に迫る為、俺達はフィフスセクターの一員となった訳だ。設立の際の発起人の一人でもある久遠監督の願いを受けて」
「久遠監督のっっ!?」

 ざわっと、ざわつく部室内。あの久遠監督が、フィフスセクターの生みの親?

「久遠監督だけじゃないぞ。雷門中の元の理事長も、その時の総理だった財前総理も発起人だ」

 鬼道の言葉を補足して、風丸が言葉を発した。部室内のざわめきは、さらに大きくなる。

「……なんか、話が大きくなってないか?」
「俺達、ただの中学生ですよぉ~。そんな大人の話、分かりっこないですぅ」

 自分たちのサッカーを取り戻したい、その一念でフィフスセクターに反旗を翻した神童達だったが、その裏の大人事情の複雑さは予想以上のものだった。

「神童……」

 心配げに霧野が神童に声をかける。

「……発起人である財前元総理は四年前、些細な政治的不手際を大きく取り上げられ、社会面で叩かれまくって失脚した。雷門前理事長は、詳細不明なまま理事長の任を離れてしまった」

 小さく口の中で事実を確認する神童の体が、小刻みに震えている。

「本当に、サッカー部の一つや二つ、廃部にするのは簡単なんだろうな」
「ああ、学校もな」

 改めて、身震いする。

「……俺達が、久遠監督からその話を聞いたのは三年前だ。久遠監督もどうにかして、そんな馬鹿げたことを止めさせようとしたんだけど、もうどうにもならなかった。強行的に動けば、財前元総理や雷門理事長の二の舞になると、久遠監督はあえて何も言わず、一監督として雷門に赴任したんだ」

 ぽつりと、円堂が話し始めた。

「久遠監督は、お前達に本当のサッカーを、自由なサッカーを取り戻しやりたいとずっと水面下で動き続けていた。その頃、俺達は俺も鬼道も海外のプロチームにいたから、すぐには動けなくて……」
「円堂監督……」

 ふぅう、と大きく息を吐く。

「医者になる為ドイツに留学中だった豪炎寺は、プロチームの契約に縛られていた俺達と比べ、身軽だった。久遠監督の話を聞き、すぐ休学の手続きを取ると日本に帰国し、仲間が用意した『イシドシュウジ』という人物に成り切って、フィフスセクターの中心部に近づいた」

『イシドシュウジ』、それは聖帝と呼ばれる青年の本名だと、剣城は黒木から教えられていた。フィフス内での活躍目覚ましく、数々の功績であっという間に聖帝候補にまで駆け上がった。そして昨年のホーリーロード、木戸川清洲を押していたイシドは、木戸川の優勝で聖帝の座を得たのだった。


  ■ ■ ■


 自分たちの知らないところで起こっていた、さまざまな事象の嵐に神童達は足元が大きく揺らぐのを感じずにはいられない。ガチャリ、とまた部室のドアが開いた。

「組織内を探るのに、下っ端が隠れてこそこそと探るより、全ての情報を掴むことが出来るTOPになって、一気に掌握した方がよほど効率的ですからね」

 金縁眼鏡を光らせながら、部室内に入ってきたのは目金だった。

「あの、あなたは……」

 風丸や鬼道に比べ、あまり見覚えのない顔。でも、多分彼も、雷門イレブンOBなのだろうと思いつつ、神童が尋ねた。

「僕は目金欠流。雷門の知性を自称して憚らない者です。久遠監督に要請され、情報管理やコンピュータシステムのプレーンを務めています」

 エッヘンと、言いかねなさそうなその態度に、先ほどまでの緊張しきっていて空気が、ほんの少し緩む。

「目金、居場所は特定できたか?」

 主語もなく、いきなり目的だけを問う鬼道。

「ええ、それは勿論! 携帯の個体識別信号とGPS機能を使えば、簡単な事です」
「豪炎寺の居場所が分かったのかっっ!?」

 勢い込む円堂。皆も目金の言葉を待っている。

「ただし、その場所に豪炎寺くんが居るとは限りませんよ? 僕たちが探すことを見越して、携帯だけ移動させられているってこともありますからね」
「その可能性もあるが、ついさっき円堂に掛かってきた電話が豪炎寺自身のもので、その送話口の向こうに豪炎寺がいた。あまり時間は立ってないから、可能性はイーブンだろう」
「じゃぁ、これを見て下さい」

 そう言いながら目金は、モバイルPCで表示させた電子地図の上の赤い光点を指し示した。

「この場所から、動いてはいません」

 それを横から覗き込んだ剣城が、小さく声を漏らす。

「この場所、フィフスセクターの本部じゃねぇか」
「そうなんですよ、本部なんですよね。これじゃ、迂闊に手が出せません」

 おそらく豪炎寺は、フィフスセクター本部の一室に監禁されているのだろう。今までの行き過ぎたフィフスセクターのやり方を糾弾された時の生贄として。

「助けに行こうとすれば、不法侵入で捕まらないとも限らないと言う事か」

 そう言って剣城が何事か、考え込んでいる。

「決勝戦は、明日。勝てば、更にフィフスセクターの支配は続き、負ければ豪炎寺の命も危ない。この危機を脱するには……」

 鬼道も同じように考え込んでいる。
 明日、試合をしなければならない子ども達は、もう不安いっぱいな表情だ。

「まだ、時間はある。最優先すべきは、豪炎寺の身柄を安全に確保することだろう」

 風丸が一言、皆の背中を押す。それは何よりも、円堂の気持ちを慮っての事だった。

「風丸……」
「そうだろう? 円堂」

 言わなくとも通じる、この気持ち。円堂は風丸が、幼馴染で親友であることの幸運に、明るい兆しを見出す。

「……俺達が出来なかったから豪炎寺は、一番恨まれるのを承知で組織の人間に成り切ってくれたんだ。そのお蔭で俺は雷門の監督にもなれたし、組織からの不必要な妨害も免れることができた。俺は、豪炎寺を助け出したい!!」

 低く地を這うような声音に、円堂の決心の程を知る。

「では、豪炎寺を救出するメンバーと、明日の試合をコントロールするメンバーに振り分けだな」

 腕を組んで考え込んでいた鬼道が、腕を解きながら言葉を紡ぐ。

「あ、あの……。明日の試合をコントロールするって、一体どういう事なんですか?」

 流石に、明日の自分達の試合の事だ、その意味を聞いておかない訳にはいかないだろう。

「明日の試合、相手は『負け』に来る。これを、ひっくり返すまでは行かないまでも、互角の勝負に引き上げたい」

 考えてみれば、相手が『負けてくれる』試合を、そうでないレベルに持ってゆくなんて至難の業だ。

「そんなの、こっちも手を抜けば互角になるんじゃないスかぁ」

 大人の都合に振り回され、いい加減嫌になっている倉間が、そんな捨て鉢な発言をする。

「……そんな事をすれば、今まで本気の試合を続けてきたことで得た、貴重な十二番目のメンバーを失うことになるぞ」

 冷静な声の割に、サングラス越しの視線は突き刺さるように厳しい。

「つまり、相手も決勝に残るくらいの実力があるのだから、勝敗指示を忘れさせ、相手を本気にさせるほどの試合をしろってことですね?」

 鬼道の言わんとすることを、即座に読み取り神童がそう答えた。

「まぁ、そーゆー事なら今までと同じだし、頑張るっきゃないしょっ!」
「円堂監督たちも、大人の立場でフィフスセクターと戦っていたって事に間違いないんだし、俺達も明日の試合を戦い抜かなくてはならない。大変な試合になるだろうけど、俺達には円堂監督がついている。今まで通り戦うだけだ」

 三国が、落ち着いた声でそう言い切る。その三国を見、そして神童や霧野、天馬達の顔を一通り見回した円堂が、彼らに向かって深々と頭を下げた。

「か、監督?」

 その様子に面食らい、慌てて声をかける神童。

「すまない、みんな! 俺は、この手で豪炎寺を救い出したい!! 時間があるとはいえ、明日の試合までに戻って来れるかどうか分からない。それでも、俺は行きたいんだ! 俺の我儘を許してくれ!!」
「円堂監督……」

 その一言は、下手をすると自ら子ども達との絆を断ち切る、諸刃の剣。仲間を親友を思う熱い気持ちと、監督であると言う責任感の狭間で。

「……俺達だって、円堂監督と豪炎寺さんの事は知っています。雷門サッカー部再興の立役者だってことは。円堂監督がサッカー部を立ち上げ、豪炎寺さんが今の雷門サッカー部へと変遷させた。そんな大事な仲間を、見捨てるような人を俺達は監督だとは思いたくありません」

 力強く、そう神童は言い切った。

「行ってください、監督。そして必ず、助け出してください!」
「神童……」

 新旧キャプテンの、熱い繋がり。

「……後は任せろ、円堂。今からならまだ、監督代理の申請は出来る。お前が戻るまで、俺がこの子達を預かる!!」

 同じく強い声と笑顔で、風丸がそう言う。

「なかなか根性のあるメンバーだけど、監督のいないまま大きな試合を迎えるプレッシャーは相当なものだ。あの時できなかったことを、俺は今、果たしたい」
「風丸、それは……」

 風丸の想いに気付き、円堂が声をかける。

「ああ、今度こそお前の代わりをちゃんと努めて見せるさ! だからお前は、一刻も早く豪炎寺を連れ戻してこい!!」

 その風丸の声に重なるように、剣城も言葉を発した。

「じゃぁ、俺も。っていうか、俺が行かなきゃ本部のどこに監禁されているか分かんねぇだろ?」

 そう言いだしたのは、剣城だ。

「剣城、お前……」
「……あの人が豪炎寺修也なら、俺も助けたい」

 剣城もまた、十年前の栄光の影響下にあるのだった。剣城に取って豪炎寺修也は、もっともまばゆい光だった。

「それでは、布陣はこうだ。豪炎寺救出組は円堂と剣城、外部から帝国の佐久間と不動をつけよう」

 鬼道の凛とした声が響く。

「帝国の佐久間って、鬼道総帥の右腕の?」
「その人って、昔から参謀役として有名な人だよね!」

 こそこそと神童達の中から囁き声が聞こえる。

「不動って、あの不動さんだよな? イナズマジャパンで鬼道さんとW司令塔を務めた」
「すげぇーな! 今でも、仲間なんだなっっ!!」

 とんでもない事に巻き込まれた感はあるけれど、それでも十年後の今でも、一糸乱れぬ動きをするイナズマジャパンメンバーの絆の強さに感動すら湧いてくる。

「そして明日の試合は、俺と風丸がお前たちを導く! まぁ、俺は帝国の総帥だから表立っての指示は出来ないが、そこは風丸とコンビで上手くやるさ」

 ニヤリ、とした笑いを浮かべている。大変な時ほど楽しく感じるなんて、よっぽど誰かの影響が強いようだ。

「指示はありがたいが、帝国のサッカーじゃ困るぜ? 鬼道総帥」

 打ち解けた様子で風丸が、そんな言葉を鬼道にかける。

「任せろ、風丸。俺は帝国総帥でもあるが、その前に雷門イレブンの一人でもあるのだからな」

 大人たちのそんな様子が、次第に子ども達の心を落ち着けていった。
 決勝戦のキックオフまで、残すは十二時間。

 それまでに、豪炎寺修也を助け出すこと。
 そして、もっとも難しい試練は、優勝戦の行方。

 勝つ訳にも、負ける訳にもゆかない試合が雷門イレブンを待っていた。


 
 
  2011年08月18日脱稿





 
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Date:2012/03/22
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